広島牛田新町光明保育園年長絵画篤 優心
広島福山市立 光小学校4絵画渡壁 樹
愛知小牧市立 本庄小学校2ともだち西尾  優誠
愛知愛知教育大学附属名古屋中学校中2平和親睦杉野 瑞怜

「夾竹桃物語」を読んで感じたこと

「夾竹桃物語」を読んで、心に残った言葉がある。それは「忘れていてごめんね」という一言だ。この短く、静かな言葉には、深い後悔と、それ以上に大きな愛が込められているように感じた。物語は戦争の記憶を描きながら、ただの過去の話に終わらず、「忘れること」と「思い出すこと」の意味を問いかけてくる。夾竹桃という花は、戦後、焦土と化した広島に真っ先に咲いた生命の象徴であり、復興の希望でもあった。しかし、その花に込められた意味を、時代が進むにつれて私たちは忘れがちになっている。主人公が夾竹桃の前で「忘れていてごめんね」と呟く場面には、人間の弱さと、でもそれを認めて、前に進もうとする強さがにじんでいた。この言葉は、単なる謝罪ではなく、過去と向き合う覚悟を示しているように思えた。私自身、平和の尊さや戦争の悲惨さを小学校で学んでいたものの、日常の中でそれを意識することは少ない。この作品を読んで、私も「忘れていた」ことに気付かされた。そして、それに気付いた時、何かを「思い出す」ことの大切さも学んだ。戦争を直接知らない私たちの世代だからこそ、記憶を継承していく責任があるのではないかと思う。
「夾竹桃物語」は、決して声高に平和を訴える作品ではない。けれど、静かに、確かに、私たち一人ひとりの心に問いかけてくる。そして最後に、「忘れていてごめんね」という言葉が、読者自身の心の中でも繰り返されるような、そんな余韻を残す。私もまた、この言葉を胸に刻み、これからを生きていきたい。

広島AICJ中学校中1感想文前原 壽慶