愛知 | 春日井市立 中部中学校 | 中2 | 平和親睦 | 伊藤 菜々子 |
平和に繋がる「気づき」
緑を輝かせ沖縄の強い日差しに負けず美しいピンクの花を咲かせる夾竹桃。私は夾竹桃に良いイメージを持ったことがない。幼少の頃、住んでいた家の生垣は夾竹桃だった。生垣に近づこうとすると父に、「夾竹桃には毒があるから近づいてはいけない。」と強く教えられた。また、夾竹桃は米軍基地のフェンスを囲うように植栽されている。まるで私たちの住む世界とフェンスの中の世界を毒のある夾竹桃が分断しているように感じていた。
でも、物語を読み夾竹桃の見方が変わった。夾竹桃は劣悪な環境でも育つ強い植物だ。物語では犬たちが生き残る可能性のある夾竹桃に未来を託した。実際に夾竹桃は、原爆で焦土と化した広島でいち早く命を芽吹かせ、人々に復興の光をもたらした。毒があるという事実だけで悪い植物という固定観念を持ち、夾竹桃のことを深く知ろうとしなかった自分の無知の罪深さに気づいた。また、物語では少年も、原爆は人の命だけではなく動植物の命も奪った事実を忘れていたことに気づく。私は「気づき」が希望につながる第一歩だと感じた。人は家族でも、親しい友人でも必ず違いがある。それに気づき、理解し合い歩み寄る努力を諦めないことが、希望に満ちた平和な世界に繋がっていくのではないだろうか。
激しい地上戦があった沖縄は、八十年たった今でも不発弾や戦没者の遺骨が出土され戦争と平和について考えさせられる機会が多い。戦争は残酷で人の命を奪い、環境を破壊する。だから私は日本で唯一地上戦が行われた沖縄の若者として、世界で唯一原爆が投下された日本の若者として、戦争の悲惨さや平和の尊さを気づかせられる人になりたい。私たちは戦争に終わりがないと悲観してはいけない。戦争は自然災害とは違い、人間の意志で始まり、人間の意志で終わらせることができる。戦争と平和をあらゆる視点から捉え、よく学び正しく継承し「希望」を創っていきたい。